突然ですが、father という単語から何を連想しますか?
そうそう、モチロン「父」「祖先」ですよね。または「創始者」の意味も
ありますし、「神父」のことも father と言いますよね。
バイブルを開くとまず一番に「〜は〜の父、〜は〜の父…」という系譜が
しばらく続きます。また、イエスは Father と天の神に呼びかけています
よね。
あ、これは宗教の勧誘とかじゃありませんから(笑)安心して読み続けて
くださいね。なぜこんな書き出しになったかというと、欧米には「〜の息
子」という名字がとても多いからなのです。それを聞いて、何となくバイ
ブルを思い出してしまったというだけの話なんです。
例えば、おなじみのマクドナルド。関西では「マクド」といいますが、関
東では「マック」って言うんですか?
それは別に関係ないんですが(笑)McDonald の Mc や、マッカーサー
(MacArthur)の Mac は「〜の息子」を表すスコットランド系の名前です。
つまり、マクドナルドは「ドナルドの息子」という意味。
ついでながら「ドナルド」というのはスコットランド人の代名詞のような
名前で「世界」と「支配者」の意味を持つケルト語に由来するそうです。
確かにマクドナルドはある意味、世界を制覇している模様デス(笑)
また、O'Hara や NBAプレーヤーの O'Neal のように O' も「〜の息子」
を表すアイルランド系の名前。フィッツジェラルドという名前の Fitz も
同じく「ジェラルドの息子」という意味で、こちらはノルマン系の名前。
北欧で圧倒的に多い「〜セン」「〜ソン」も「〜の息子」を表し、「〜
sen」「〜son」は、西欧文化発祥の地ギリシャに起源があると言われてい
ます。
北欧では面白いことに親子で名字が変わっていく習慣があったそうで、例
えば、ヨハン・アンデルセンという人がいたとすると、彼の父の名前は
「アンデルス」さんで、彼の息子の名字は「ヨハンセン」に変わってしま
うことになります。スウェーデンで姓を固定化するように法律が作られた
のは1901年のこと。ホントについ最近までこのような習慣があったのです
ね。
「〜セン」「〜ソン」と聞いてご想像いただけるように、Johnson などの
末尾につく son も「〜の息子」の意味です。Williams のように「〜s」
で「ウィリアムの息子」という場合もあるようですが、「〜s」には雇わ
れ人を意味することもあったようです。
ロシアでは、名字ではないのですが、父の名前に「〜の息子」を表す「〜
ヴィッチ」を付けてミドルネームにする習慣があります。ちなみに、男性
と女性ではミドルネームに付ける接尾辞が違い、例えば父の名が「パヴロ」
だとすると、男性ならミドルネームは「パブロフ」、女性なら「パヴロヴ
ナ」になるそうです。
また、以前書かせていただいた「ウサマ・ビン・ラディン」のようにアラ
ブでは「ビン」や「イブン」が「〜の息子」を表しています。
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■■ 「東海林さん」の読み方は知ってるよね?
皆さんは「東海林」さんを「ショウジ」さんと読むって知ってますよね。
だって歌手の東海林太郎さんや、芸能リポーターの東海林さんですっかり
おなじみの名字なので、(といっても私は長い間、東海林太郎さんて、ト
ウカイ・リンタロウさんだと思っていたのですが…)「トウカイリン」さ
んなんて読んだりすると失笑を買いそうです(笑)
でも「ショウジ」さんという名字は、漢字を当てると「東海林」よりも
「庄司」の方が多いですよね。そもそも「東海林」を何故「しょうじ」と
読むようになったのでしょうか。
実は「ショウジ」のもとの漢字は「荘司」で、荘園で税の徴収をしていた
人のことなのです。山形県にはもともと「東海林(トウカイリン)」とい
う地名があり、ここから「東海林(トウカイリン)」という名字が発生し
て、秋田県にも広まったのですが、この東海林(トウカイリン)さんが荘
司を務めるようになってから「トウカイリン→ショウジ」と呼ばれるよう
になったらしいのです。
秋田県に広まった東海林さんは「ショウジ」と読まれますが、山形県の東
海林さんは「トウカイリン」さんのままだそうです。だから「トウカイリ
ン」さんと読んで白い目で見られても、こちらがご本家だと笑って説明し
てくださいネ。