名字と名前は一つずつ?
日本では「山田太郎」などのように「名字」と「名前」がひとつずつ。お隣の韓国、中国などもこのパターンなので、この形が世界標準だと思ってしまいがちなのですが…
欧米ではミドルネームがあって、名前と名字は全部で3つが基本。このミドルネームも、アメリカ・イギリスなどでは洗礼名を用いるのに対して、ロシアでは父親の名前に「ヴィチ」を付けたものをミドルネームに使用します。この「ヴィチ」は「○○の息子」という意味。ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン氏は「ウラジーミロの息子、ウラジーミル」という名前だということになります。
またラテン系では「名前+父親の姓+母親の旧姓」(スペイン)、「名前+母親の旧姓+父親の姓」(ポルトガル)という形になります。
モンゴルでは「父親の名前+本人の名前」の形が一般的。朝青龍の本名は「ドルゴルスレン・ダグワドルジ」ですが「ドルゴルスレン」は父親の名前ということになります。
アラブ諸国などでは「本人の名前+父親の名前+祖父の名前+部族の名前」となり、これらにさらに定冠詞などが付くとのこと。ファミリーネームではなく、祖先の系譜を続けて表す形です。たとえば「ウサマ・ビン・ラディン氏」の場合、「ビン」は「息子」を表し「ラディン」が父親の名前になりますから「ラディンの息子ウサマ」という意味なのです。
ミャンマーでは名前のみで名字はありません。またタイでは20世紀初めに名字を付けることが法律で決められ、国民は名字を持っていますが、名前のみを使用する習慣が長かったため、名字は実際には根付いていないそうです。
ということは日本のように「名字」と「名前」がひとつづつ、というパターンは少数派と言ってもよいかもしれません。
------ 「名字のヒミツ」 森岡浩著(朝日新聞出版)など参照