子供を守るためのモンゴルの名前
私たちは名字と名前があることはまったく当たり前のことだと思っていますが、世界には姓がない国もありますし、一生涯、本名よりも愛称で呼ば
れる国もあります。
モンゴルは姓が無く、また「名前はない」という名付けを行う(私たちから見れば)ユニークな国です。子供が生まれたときに名付けを行う親が居
なかったりして、名前を付けないまま1週間以上経つと、その子の名前は「ネルグイ」(ネル=名前、グイ=無い)になってしまうというのです。
現在でも実際にたくさんの「ネルグイ」さんがいらっしゃるそうですよ。この「ネルグイ」さん以外に、「エネビシ」(これではない)、「ヘンチ
ビシ」(誰でもない)、「フンビシ」(人間ではない)という名前があることから、「ネルグイ」さんも、意図的にそのような名前が付けられたの
では、という考えがあります。
というのは、モンゴルでは病気や災いをもたらす魔物から、その子供を守るために、子供の名前を知られないよう、わざとそのような名前を付ける
風習があるらしいのです。
名前はないよ、これじゃないよ、という遠ざけ方もあれば、もっとユニークなのは「バースト」さんという名前。なんと「バース」は「うんこ」の
意味なので「うんこまみれ」(キャ〜ッ!)という意味になるらしいのです。でもこれらの名前は、子供が健康に育つようにという親の祈りが込められているんですね。